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2006.07.17

増大する影響力 知られざる騎手エージェント

岡部幸雄の全盛時代、初めて日本に登場したのが騎手エージェントだった。競馬研究の記者・松沢昭夫が岡部と契約を結び、騎手本人に代わって騎乗依頼を取り付け、乗り馬が重なった場合は脈のありそうな馬を優先できるよう調整していた。松沢は岡部子飼いの柴田善、田中勝、横山典、蛯名などのエージェントも務めるようになり、仲間内で騎乗馬を融通し、時にはレースでも協力しあう岡部ラインなる言葉さえ生まれた。

こうしたエージェントの存在は長らく公式には認められなかったものの、 JRAも影響力の大きさを無視することができなくなり、今年5月、「騎乗依頼仲介者」として届け出ることを義務づけた。厩舎に属さないフリーの騎手が増加するなか、エージェントの活躍の場は広がりつづけている。日本も欧米並になってきたということか。だが、誰がどの騎手のマネージメントをしているのか、実際のところはファンからは見えないのが現状だ。

そうした中、競馬最強の法則(8月号)に「乗り馬集め【エージェント】を知らずに馬券が獲れるか」とする特集記事が掲載された。現在のエージェントの状況について良くまとめられている。当事者への取材はないが、一読の価値はある。エージェントのほとんどはトラックマンだが、武豊だけはフリー記者の平林雅芳(元「馬」)と組んでいる。今は大阪スポーツでコラム欄を持っているが、武豊ほどになるとエージェント稼業だけで生活していけるということだろうか。

栗東は競馬ブックの記者が強い。小原靖博は福永、四位、岩田、鮫島、川田らを、井上政行は安藤勝、柴山を、川田英太は秋山、松本晴夫は和田を担当している。「当然、同社の記者同士で騎乗馬振り分けを調整することもできる」(最強の法則)となれば、競馬ブック社そのものが、エージェント業者と言えるかもしれない。勝負がかりの情報も容易に手に入るだろう。一方、ニュートラルの立場から騎乗法を評価できるのかなど、競馬ジャーナリズムの発展にとっては心配な面もある。

美浦は相変わらず松沢昭夫の研究が中心のようだ。同僚記者の永楽裕樹とともに旧岡部ラインに北村宏、大西、村田、デザーモらを担当。これに対抗する日刊競馬植木靖雄は藤田、中館、内田博と、勢いのある騎手のエージェントになっている。エイト・ヒロシは後藤だ。エージェントは騎手の負担軽減にもなるし、人間関係のしがらみから解放されて騎乗馬を選べるようになる。騎手がプロのアスリートとして騎乗に専念できるのは良いことだが、ファンはこうした知識がないと馬券予想に不利な面もあるかもしれない。

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