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2005.12.26

伝説第二章 "空飛ぶ英雄"の軛から放たれて

深い傷跡。ディープショックが日本列島を覆った12月25日。ディープインパクトは並のGⅠ馬ではない。小回り中山2500で最後方という不利な位置につけ、淀みのない流れをまくって道中で脚を使った。にも関わらず、最高のポジショニングをしたJC2着馬に半馬身差まで迫った。これは驚くべきことであり、賞賛されるべきことだ。だが、ひとつの事実が明らかされたことで、中山競馬場は失望と静寂に包まれた。ディープインパクトは空飛ぶサラブレッドでもなければ、セクレタリアトの再来でもなかったということだ。

レース後、武豊は「申し訳ない。いつものディープとは違った。なぜなのか分からない」と肩を落としたと言う。確かにディープは絶好調とは程遠い馬体ではあったが、走れない状態でもなかった(絶好調と言っていたパドック解説者は職を辞してほしい)。敗因は武豊が弁明したような不可解なものではなく、これまでのディープが問題にしてこなかった体調、馬場、コース、ポジション、ペース、そして相手関係という現実的なものだ。レース前、ディープ陣営は正攻法、つまり常識的な位置取りと戦法を採ると漏れ聞こえていただけに、最後方に下げたのは意外だった。

もし、武豊に「空飛ぶサラブレッドは追い込み、捲りで必ず勝てる」という思いがあったなら、それは過信だったということではないか。そこまで古馬勢の層は薄くはなかった。再度、確認するが、ディープは歴史的な強さを持つ名馬である。但し、神の脚を賜ったサラブレッドではない。そろそろ私たちは過剰演出された無敗の三冠馬の幻影から抜け出す時期に来ている。今回の敗戦を契機に社会現象となったディープブームは終わるかもしれない。しかし、ファンは落胆する必要は全くない。軛(くびき)から放たれ、私たちの元へ帰ってきたディープ伝説の第二幕を楽しみすればいいのだから。

勝ったハーツクライはルメールの好騎乗につきる。追い込み一辺倒だった馬を、大舞台で先行させたのだから大したもの。 JCの反動もなかった。競馬は八百長じゃない、ガチなんだ! 空気嫁なんて笑え、そう思わせてくれたのは幸せなことだった。 3着リンカーンも横山典が相変わらずの手綱さばき。 JCも走っているが、中山向きだと思う。4着にコスモバルク。上手く折り合って、4角では勝ったかと思わせる手応え。絞れれば、もっと走れた。今後は五十嵐とのコンビで落ち着かせてほしい。 6着にヘヴンリーロマンス。天皇賞秋はフロックではなかった。

2番人気に支持されたゼンノロブロイは8着。一杯に追いきっておらず、プラス12キロでの出走だった。精神的な糸が切れていたこともあるし、下見では良く見せていたが疲労は蓄積していたのだろう。軽い血統なだけに種牡馬として良い成績を残してほしい。やはり、ここが引退レースとなったタップダンスシチーは12着。果敢なハナで単勝を握りしめていた私は4角まで楽しませてもらった。残念だが全盛期の力は失われていた。長きに渡ってトップホースとして競馬界を引っ張ってくれたタップとロブロイには感謝したい。

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