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2005.09.01

"新高崎撤退"反応に思う ネット情報伝達の拙さと限界

先日、拙ブログで「新高崎撤退」の記事をエントリーしたが、 様々なところで感想や批判が掲載されているようだ。 「新高崎撤退」については、とうの6月12日付けで公式サイトの ニュース&トピックスで発表されていた。 しかし、この時の反応は皆無で、今後の活動を含めた今回の公式発表の記事も、 おそらくネットの話題に上らないのではないかと危惧していた。 そのため、拙ブログで「公式発表 新高崎撤退」と銘打った記事を敢えて 書くことにした。ここまで咀嚼しなければニュースバリューの軽重も 伝わらない現状と関心の低さに、送り手、受け手、双方の限界が見え、 これが新高崎の活動の一側面であるネットにおける 情報伝達の弊害をもたらしていたのだと確信した。

もともと新高崎は行政の施策と真っ向から 対立してきたので、一般メディアに取り上げられることは少なかった。 地元紙への模擬レースの広告掲載すら群馬県の圧力で 拒否されるほどだったから、情報発信の手段は極めて限られていた。 ある競馬週刊誌の編集長は全面的に協力しますとの言葉を残したまま 梨の礫になったし、日経の野元記者は電話確認の取材すらせず「奇妙な構想」と切り捨てた。 そうした中、新高崎をネットで知らしめる役割を果たしたのが、 代表者による「新高崎応援団」のブログだった。ブログを通じて賛同するファンも集まり、活動を支援するファンサイトも現れた。 かく言う私もメールを出して、直接、会いに行くきっかけとした。 このブログを通じて、新高崎の動きは逐次、報告されていたし、 群馬県の担当者もウォッチしていると分かったことで、 県に対する意思表示や交渉の手段にもなっていった。 また、ハルウララを呼ぼうとした際は、多数のブロガーから批判を受け 招聘を中止したこともあった(関係者は強奪騒動を知らなかった)。

だが、無料スペースのブログは、 団体の公式サイトとしては信頼性に疑問が生じるのも事実だった。 個人の意見なのか、オフィシャルな声明なのか、戸惑うことも少なくなかった。 ファンサイトからは、独自ドメインを取得した公式サイトの立ち上げ を要望する声はいち早く上がっていた。しかし、 行政や競馬関連団体との折衝、新会社設立のための準備、 預託馬を集めるための広報活動など、本来業務に忙殺されて 公式サイトのスタートは遅々として進まなかった。 当事者がネット、ブログなどというツールと縁なく暮らしてきた 40代、50代の方々だったことを思えば仕方ないことと言えるし、 ファンサイトがもっと協力できた面でもあるだろう。私が感じるのは、 新高崎が情報公開に消極的だったというのは誤りで、 その具体的な方法が不適切だった というのが正しいということだ。

実は新高崎ブログと、その後のレーシング伊勢崎クラブのサイトを合わせ読めば、活動のほとんどを理解する上で、 八割方のことが包み隠さず書かれている。 新競馬場構想の仕組み(預託馬房を運営資金に回す等)から、 競馬組合との民事裁判、伊勢崎市長候補やライブドアとの接触まで、 今から見れば書かなくても良いことも少なくない。 にも関わらず、 「情報を出さなかった」「秘密主義だ」などと 一部のサイトで批判を受けたのは何故だろうか。 ひとつはこうした事実を系統だって説明する ページがなかったということ。日付単位で細切れに記録されるブログは、 過去の経緯を一度に知るには適さない道具だ。 公式サイトが生まれてからも、経緯と主張を分かりやすく伝えようとする努力が 充分だったとは言い難い。また、境町トレセンからの撤退に関しても、 遅れた公式発表を待って各ファンサイトで書こうという意思決定が足かせとなって、 痛くもない腹を探られる結果となった(ファンサイトはオブザーバーであり、撤退以外に外へ出すことを躊躇する情報もなかった)。

当初は活動に興味津々だった 競馬系サイトも、ほどなく新高崎を伝えることはしなくなった。 今年1月、大手ニュースサイトの血統の森では、 新高崎に「公開質問」を行っている。この中で新高崎の代表は すべての質問に答えた上で、携帯電話の番号まで伝えている。 今回、血統の森は「情報公開がいろいろな場面で叫ばれるわけですが、 どうしてそれをしてこなかったのか」と新高崎を批判しているが、 では、何故、電話一本、メール一通しなかったのだろうか。 競馬サイト管理人による 有識者会議の際も、 「リアルでとなると荷が重い話」として誘いを断っている。 もし、公開質問状以降もコンタクトを投げ出していなければ、 ファン説明会で配られた収支計画書を含めた資料も容易に手に入れられたはずだ。 この辺りがネットに掲載される情報を口を開けて待っている、 受け身的なニュースサイトの限界なのだろう。 彼らの注意を喚起するためには、新高崎は情報という生の素材を並べるだけでなく、 料理した上で口の中に投げ込んでやる作業が必要だったのだ。 これは期待料を込めた蛇足だが、 ネットから一歩、外へ踏み出せば、ニュースサイトは クリップマシーンから抜け出して、もっと創造的な形を目指せると思う。

新高崎のネットでの活動は、新規のファン開拓という目的からすれば、 一定の役割を果たしたことも事実だし、逆に反省すべき点も多くあった。 私は件の有識者会議には参加していないが、 ブロガーがこうした活動に関わったとき、 何故もっと情報を分かりやすく伝えられなかったのか、 誤解を受けるようなエントリーをUPしてしまったのか、 意思疎通に時間がかかったことを含めて、課題が見えてきたように思える。 現実世界での活動に忙殺される新高崎と、ネット情報に依存する競馬情報サイトとの 橋渡しができなかったのは、教訓とすべき経験になったのではなかろうか。 ともあれ、新高崎グループは境町トレセンから姿を消し、 近々に競馬開催を復活させるという目標は彼方へと遠のいた。 もちろん、原因はネット上の失敗などではなく、 現実世界での行き詰まりだ。 今後の地方競馬再生の教師、反面教師とする上でも、 一般メディアの記録には残らないことを鑑みても、 一連の出来事は外伝として書かなければならないように思える。

追記:
これまで真摯な姿勢で書いていただいた記事を幾つかリンクさせていただく。 異なる意見を突き合わせることで、エントリーの価値は高まっていく のは間違いない。 私の記事も拙い間違いや矛盾点があると思う。 だが、他者から鋭い批判を受けることは歓迎するつもりで、今後も 積極的なエントリーをしていければと考えている。 お付き合いいただいたブロガー諸氏にお礼を申し上げる

>>かくして新高崎応援団は死んだ(光ってるlog)
>>あえてこう書く、新高崎公式発表後…(ヨハンソンの徒然草)
>>Racing ISESAKI Club 境町撤退 その後(劇場の基本的には競馬日記)
>>境町トレセンから撤退 その教訓と未来(地方競馬に行こう!)
>>とにかく情報が無さ過ぎた新高崎(四号館)
>>新高崎競馬応援団が境トレセンから撤退(sweet air)

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