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2004.12.03

ライブドア参入を地方競馬改革の契機に

各地の地方競馬に馬券販売委託をオファーしているライブドア。 廃止の方向が打ち出されている高崎、笠松とも 交渉を行っていましたが、高崎については参入の扉は閉ざされつつあるようです。 11月26日、群馬県はライブドアに求めていた 数値的な試算を含めた具体的な資料が期限までに提出されなかった として、存続の検討を行わない方針を決めました。 最初から取り合う気もなく 存廃議論を放棄した群馬県の姿勢には納得できませんが、 「廃止ありき」の行政を覆す戦略がなかった ライブドアの緩慢さも問題です。 トップの決断がいくら早くても、 相手方との綿密な連絡信頼関係を醸成する努力を現場が怠れば 交渉は巧くいきません。 私も仕事上、ライブドアと折衝を試みたことがありますが、 社会常識や相手先との人間関係を築いていくマンパワーが 社員全員に浸透しきれていないのが企業の弱点ではないか感じさせられました。

一方、笠松では岐阜県に対してライブドアの新しい提案がなされました。 競馬事業に関する公益法人を設立して、赤字分を寄付行為で補填する仕組みを 作ろうというのです。これを受けて1日、 岐阜県知事は「競馬が地方財政に貢献する使命は終わった」 として収益分配を放棄する旨、発表しました。 どういうことかというと、赤字ならライブドアが責任を持って払ってくれよ、 その代わり黒字でも御上に上納する必要はないからさ、ということです。 競馬場跡地で再開発計画を進めたい群馬県とは違って、 岐阜県は税金での補填さえしなくてよいのなら廃止しなくてよいという立場です。 廃止を前提に設置された経営問題検討委員会は「速やかな廃止」を 最終的に答申しましたが、岐阜県は ライブドアの提案が経営リスクを担保できるものかどうか検討する 外部機関を設けることを決めました。 県知事は「早急にライブドアにお伝えし、協議を重ねていきたい」としていて、 笠松の命運はこの外部機関の議論に委ねられることになりそうです。

こうした高崎や笠松での存続運動を水面下から支えているのが 民俗学者の大月隆寛氏です。中津廃止の際も現地の人々の中に入って 活動をした大月氏でしたが、今回もライブドアと関係者の仲を 取り持つなど、民俗学者らしいフィールドワークを見せています。 しかし、日経新聞の重鎮、野元賢一記者は、 この大月氏の動きを苦々しく思っているようです。 野元記者はネットコラムで 「冷静に現実を直視すべき」として ライブドア参入に否定的な見方を示しています。

ライブドアはネット販売を掲げているが、 必要なシステム開発は各場まちまちなハード、賭式に対応しつつ、 不正侵入の防止や個人情報の保護といった条件を満たす必要があり、 間違いなく高くつく。… 地方の馬券発売の委託手数料だけで、初期投資を回収できるだろうか?… 売り方もブランドイメージもダメだが、 最大の問題はコンテンツの劣化。「ネット販売で売上が飛躍的に伸びる」など、 現状を知らない人の空理空論にほかならない。

また、大月氏に対しては損益分岐点など具体的な数字を出していないと批判します (ライブドア案に大月氏が深く関与しているとした上で)。

数字を出さない心理を勝手に忖度してみる。 大月氏のタイプの論調は「赤字はすべて主催者の責任」との立場に立つ。… 内きゅう制度に伴うきゅう舎の人的コストの肥大化こそ、 昔も今も日本の競馬事業の最大のネックである。… きゅう舎発の存続論は、常に感情論の域を出ることがない。 数字を踏まえた議論に立ち入ると、ヤブヘビになるからである。 …万一、本格的に経営に関与すれば、 今はきゅう舎人(大月氏の表現を借りれば「うまやもん」)にとって 救世主に映る堀江社長は、自治体よりはるかに恐ろしい敵となろう。 (サラブnet)

野元記者はライブドアの事業の採算性への疑問や 厩舎運営のコストカットの可能性などを指摘しています。 これまで民間参入の許されなかった分野ですから、 野元記者の指摘はある側面では正当だと言えるのだろうと思います。 しかし、あと数ヶ月のうちに存続か廃止かを結論づけられる地方競馬の状況 を鑑みたとき、野元記者の主張する危うさ故に 行政の決定を受け入れることが(存続を願う側に立てば) 正しいとは合点がゆかないのです。 若手論客の須田鷹雄氏もライブドア参入には懐疑的な立場を 取っていますが、やはり今そこにある危機をどう回避するかという方策はなく、 長期的なヴィジョンを示すに留まっています。

全ての競馬場、全ての人馬が残れるならそれにこしたことはないが、 それはもはや難しい。…必要なのは地方競馬全体の、 あるいは少なくとも南関東を除く地方競馬全体のデザインを一から組みなおすことだろう …競馬場は厩舎とベタ付けでワンセット、という完全内厩制は限界に来ている。 これからは売り上げから逆算して養える量の人馬を前提に、 トータルの開催規模を減らして地区間場外で補う方向に行くしかないだろう。 …高崎はその意味でも厳しい。高知の方がまだ理屈としてはありうる。 … 輸送コストというのはもうちょっとどうにかならないかとか、 番組を全国で統一できないかとか、そういう地味な話が重要になってくると思う。 …ライブドアを救世主と崇めていればその間は現実を忘れられるのだろうが、 その先がどうなるかという想像力くらい持っていないと本当にみんな死んでしまう。 (須田鷹雄の日常・非日常)

完全内厩制の撤廃、地方競馬の横断的連携は個人的にも 不可欠な改革だと考えています。 しかし、これは1年や2年で実現するものではありません。 全国でバラバラに開催することをやめて、 最低限の競馬場だけ残して、そこで賄えるだけの人馬を外厩制度のなかで生き残らせる。 須田氏の主張は自分でも書いているように非常にシビアです。 はっきりと名指しすることは避けていますが、時間的なリミットから 北関東、東海は切り捨てるしかないと考えているように見受けられます。 もちろん、須田氏の案もライブドア参入と同じくリスクがないものではありません。 競馬場を閉鎖することで、須田氏が恐れている 「市場の弱体化」「斜陽産業というイメージの定着」に 歯止めがかけられなくなることも十分にあり得るのではないでしょうか。

私はライブドアの事業計画が絶対的に信頼のおけるものではないと認めつつ、 地方競馬への参入を支持する立場です。 今、地方のドミノ倒しを食い止めるには他の手段がないからです。 インターネットで馬券が売れるかどうかは分かりません。 ただ、50代以上の4割がインターネットを利用する時代、 地方競馬ファンとの親和性が低いとは断定はできないのも事実です。 どこもこれもやってみなくては前例のないものばかりなのです。 当のライブドアは地方競馬の命運を握る責任を自覚して、 競馬事業担当部署を大幅に充実させ、短期的、長期的な構想を提示すべきでしょう。 ライブドアだけに任せておけば、地方競馬は迷走を始めるかもしれません。 そこで、もっと幅広く競馬の専門家集団を巻き込み、 10年、20年先を睨んだ改革案を練ってほしいのです。そこには 野元記者や須田氏のようなライブドアに懐疑的な有識者も参加させる度量の広さが求められます。 そのためにも岐阜県がライブドア参入を認めることが、新しい地方競馬の一歩になるはずです。

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コメント

堀江貴文個人の趣味で始めたであろう競馬のHPがオン・ザ・エッジの立ち上げに繋がりライブドアになりここまで大きくしてさらに、馬主に収まらず商売に結び付けようとするすごさに大拍手してま~す。
是非とも成功して欲しいなぁ。

投稿: とうりすがり | 2004.12.03 14:18

がとー@馬耳東風さん

笠松競馬は、現在はまずライブドア案を県が了承して存続と言ってくれることなんですよね。
それからは、また新たな戦い?が始まるかもしれません。
競馬社会って一般社会から隔離されていたところがあるように思います。今まで通ってきたことが、民間が入ることでずい分変わることでしょう。
でも地方競馬が変わっていくこの時に、頑張って踏ん張って行かないとと思っています。

投稿: 愛馬会 ねね | 2004.12.04 22:51

>とうりすがりさん 原点はダビスクですもんね。やる以上は成功は絶対です。 >ねねさま 県が前向きに受け入れてくれ宇ことを祈るばかりです。一時は厳しい改革になるかもしれませんが、地方競馬全体を活気づけてくれる方向に行ってくれれば悲観ばかりではないと信じたいです。

投稿: がとー@馬耳東風 | 2004.12.05 17:51

民間参入はいいことだけど、ライブドア一社しか手を挙げていないのが気がかり。
楽天とは言わないが、複数あってはじめてビジネスとしての競馬が認知されると思う。
いまのところ、好意的に捉えて堀江氏の趣味の域でしかない。
ライブドアだって一応上場企業なわけだし、黒字モデルをキチッリ示さなければ機関投資家に逃げられるだろう。
ヴィッセル神戸に支援した楽天のように社長のポケットマネーにしたら赤字だろうが何だろうが文句無いはず、とりあえず黒字にこだわる必要も無い。不思議なホリエモン。
やっぱり、売名?と捉える向きも否定できない。

投稿: 市民 | 2004.12.06 18:28

売名でも本気で参入してくれるなら構わないですね。というより、公営競技を運営することで企業としての箔をつけたいという売名行為と考えれば正当なビジネスかと。

投稿: がとー@馬耳東風 | 2004.12.08 19:17

競馬場へ足を、運べば酒の飲み過ぎで、運転ができない。昨今は、インターネットで競馬をしています。地方から、出てきた馬が、中央で走る(勝つ)ことが甲子園のようで、楽しみです。それが地元であったりすれば予想オッズ無関係で応援でき着内であれば、熱いものがこみ上げてきます。そんなドラマをJRAはもっと応援してほしい。テレビでも、地方の気になるレース、馬は取り上げてほしい、(地方でいるうちに)そんな窓口をもっと広げるためにも、インターネット競馬を行いやすくしたい。地方競馬のインターネット投票の窓口があれば、教えてほしい。コンビニで地方競馬新聞が買えれば、いいね。競艇は、一部のコンビニで買えます。

投稿: ベランダ競馬フアン | 2005.01.16 11:54

>ベランダ競馬フアンさん 同感です。来年は中央の納付金から地方へ補助が回る法律ができると噂に聞きました。地方競馬のネット馬券はいま募集中です。http://www.nrsnet.co.jp/dnet/

投稿: がとー@馬耳東風 | 2005.01.16 23:52

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