笠松存続に光明!? やはり再生の鍵は民間参入
廃止か存続か、厳しい局面に立たされている笠松競馬ですが、 岐阜県の梶原拓知事は「赤字を含めて民間が引き受けてくれるなら検討の余地はある」 (読売)との考えを馬主会らに示しました。 これはどういうことかと言うと、改正競馬法により参入が認められた 民間企業が運営に乗り出してくれば、笠松存続を認めるということ。 笠松町長も民間委託による経営改善を前提として「来年度は税金を投入しても開催する」 (毎日)としています。 これまで県の検討委員会は「自立的な経営は困難で速やかに廃止すべき」 との中間報告書をまとめ、知事も「前途に光明を見いだすことは極めて難しい」と議会で答えていました。 今回のトップの発言が、 廃止一辺倒に突き進んできた事務方に歯止めをかけることを期待したいです。
一方で廃止が正式決定されたのが高崎競馬。 1日、競馬開催は年内までとする補正予算案が群馬県議会で可決されました。 高崎競馬にはライブドアが経営に参画する意思を示し、 廃止撤回と競馬を開催する新組織立ち上げを県に申し入れる予定でした。 ライブドアは「赤字の場合を含む開催経費を全額負担する」という 条件を提示していたにも関わらず、 県のほうは全く貸す耳を持たなかったようです。また、懸命の存続アピールを行ってきたはずの調騎会が 「廃止の方向で県などと再就職や補償問題を話し合っているので、 その妨げになる ようなことは困る」と言うのであれば、民間参入の余地はありません。 本音はそうであっても、高崎調騎会の無神経な発言は競馬を愛するが故に 支援してくれたファンや関係者に失礼極まりないのではないでしょうか。
ともあれ、こうして民間企業が地方競馬運営に手を挙げたのは歓迎すべきこと。 既に岩手競馬は「馬券販売業務の委託」をライブドアに打診したそうです。 岩手は佐賀、荒尾との連携を進めていて、 狙いはインターネットを通じた全国地方競馬の馬券発売にあるようです。 多数のアクセスのあるポータルサイトを持つライブドアの力を借りて、 地元以外の競馬ファン、ライトファンの需要掘り起こしにつなげようというのです。 このライブドア地方競馬連合構想に笠松競馬が加わることは大いに考えられます。 もちろん、ライブドアのおかげで魅力的なコンテンツのできあがり、 と簡単に行くとは思いません。実際、競馬評論家の 須田鷹雄氏はプロ野球のオーナー同様、ライブドアの参入には否定的です。
野球のときにも「ネットを使えば魔法のように売り上げが上がる論」がまかり通ったが、 地方競馬の中でも商品力の弱い高崎の馬券を売るのは相当な難題だ。 …それと、やはり心配なのはライブドアそのもの の将来だ。卓越した競馬知識と見識を持ち、さらに潤沢な資金も備えてるというなら…… なんでホリエモンみたいな「一年後に浦和の未勝利交流走る予感満載」な馬を買っちゃうのかと 。これはどうにも説明つかない現象ですよ。 (須田鷹雄の日常・非日常)
確かにライブドアの企業としての信頼度は高くありませんし、 すべてを任すには若すぎる会社です(外部への対応の仕方ひとつにしても。代表電話は自動応答で 肝心な部署にはつながらないし)。 しかし、ライブドアだろうがソフトバンクだろうが、 民間への委託が地方競馬再起に向けた一歩になるのには違いありません。 何もしなければ廃止しかないのですから。 私は地方競馬再生(黒字転換)の方策は尽くされていないと思っています。 これまでの行政の怠慢な運営だけで、 地方競馬は税金の無駄遣いと短絡的に切り捨てられるのは、 一ファンとして到底うなづけるものではないのです。
また、 プロ野球の時もそうでしたが、とにかく先に手を挙げてしまうのが ライブドアの特徴でもあります。ということは、 今後、楽天…ではなくても、第二、第三の民間企業が名乗り出てくることもある のではないでしょうか。 地方競馬は数千億円の売り上げを持つ巨大マーケットです。 手を出したがっているのはライブドアだけではないはずです。 もし、もっと競馬運営に長けた企業が地方競馬を経営してみたい! と言い出したら、行政側も受け入れざるを得ないでしょう。 それがGⅠ馬を持つような人が社長だったら、東大卒の競馬評論家も納得するんでしょうね。 主催者側としては、そうした質の高い民間企業をいかに引き入れるかが大切になってきます。 わずかに光明が見えてきたとはいえ笠松存続はまだ予断を許しません。 来年度の開催を決定させることができるかどうか、 今、まさに笠松は正念場を迎えようとしています。
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