競馬ブック取材拒否? 武豊がおかしいぞ!
武豊は 言わずもがな武豊は日本のトップジョッキーであり、 競馬と縁遠い一般市民でも唯一、個人名を知る騎手である。 世界ふしぎ発見やクイズ・ミリオネアに出演できるのは 武豊しかいない。 この10年、社会通念では良くも悪くも「競馬=武豊」でまかり通ってきた。 そして、外に向けて競馬をアピールする広告塔としての役割だけでなく、 旧態依然の競馬会や厩舎制度を内から壊す改革者でもあった。 武豊もオピニオンリーダーとして自覚を持ち、 自分の発言や振る舞いの重さも十分に考えて行動してきた。 しかし、最近、その武豊がおかしい。
今週、競馬ブックに奇妙な謝罪文が掲載された。 「ゴールドレンジャー号の文中で不穏当な表現があった ことを関係者各位に深くお詫び申し上げます」。 ゴールドレンジャーは6月13日の東京6Rに出走して3番人気4着に敗れている。 鞍上は武豊だ。競馬ブックはレース短評として 「勝ち馬の直後にいたが、直線は外に持ち出して、更に一頭大外。外にモタれたのかもしれないが 強襲してきただけに不可解」と書いている。 この批判めいた短評に武豊は激怒、競馬ブックのレース後のコメント取材を拒否したという。 そのため、競馬ブックは謝罪文を載せたというのが事の顛末のようだ。
記事とは記者の主観を通した事実である。だから、 「武豊の騎乗不可解」と記者が思えば、責任を持って批判するのが記者の仕事だ。 ちなみにギャロップの短評は「勝負どころで置かれたし、直線は大外にヨレながら伸びていた。 能力はあるが、気性は若い」である。 大外に回した理由を「コース取りが不可解」とするか、「気性が若い」とするか、 事実がどうであれ 編集権を持つのは報道の側なのは間違いない。 短評が見当違いなら読者から信頼を失うだろうし、他の関係者の笑いものになるだろう。 競馬に限らずプロスポーツの報道とはそういうものではないか。 「ホームランを打たれた球は失投だった」と書くのに、 投手の言質が必要なはずがない。 相手が武豊だからといって、筆を緩めるようでは記者失格だ。
武豊とすれば、外に出すのがベストだったんだという思いがあったのかもしれない。 自分のコメントを信じないのなら、なぜ取材するんだと怒りがこみあげたのかもしれない。 だからと言って、武豊が取材拒否などという子ども染みたこと をしたのは私には驚きだった。今まで 武豊は誰よりもファンに情報を伝えることに腐心し、 競馬マスコミの成熟を願っていた。 気に入らない記事が載る度に出入り禁止を繰り返す、勘違いした調教師連中とは対極にいる。 今回の事件も、ファンに正確な情報を伝えたいが故の行き過ぎか、 一時の気の迷いが起こしたものと思いたい。 ヤンキースの松井秀喜のように、結果に関わらず会見をし、 つまらないバッシングはグラウンドで打ち負かす、それぐらいの器量は武豊も持ち合わせているはずだ。
一方で、最近の武豊はどこかメンタルな部分でバランスを崩しているように思える。 それは彼の成績にも現われている。 史上最速のJRA100勝に到達したとはいえ、 4月の桜花賞をダンスインザムードで勝って以来、宝塚記念まで重賞は実に17連敗中。 しかも【021 14】という惨憺たる成績なのだ。 以前は1番人気になるような馬なら、騎乗依頼の声が憎らしいほどかかっていたものだが、 今年は馬の質もイマイチ。春のGⅠの主役は安藤勝己に奪われてしまった。 先日のエプソムCも遠征してきた割に騎乗馬は11番人気のイシノミューズ(8着)だったし、 園田の名物レース「ゴールデンジョッキーカップ」(2000勝以上の中央・地方騎手で争われる)も 最下位の12位に敗れてしまった。 オグリローマンの桜花賞、スペシャルウィークの天皇賞秋など、 背筋が凍り付くような騎乗も近頃はなりをひそめている。
ブラックタイドできさらぎ賞で差されたり、ハルウララに物言いをつけたり、 なんとなく前兆のようなものはあったが、一言で表現すると今年の武豊は 競馬を楽しむ、いつもの余裕が感じられないのだ。 夏のヨーロッパ遠征で心機一転、リフレッシュして、秋にはGⅠを勝ちまくる憎たらしい姿を見せてほしい。 平場ばかり勝つ武豊など、何の魅力もないのだから。 最後に武豊に一喝されて即刻、謝罪文を載せた競馬ブックは 報道機関の名に値しない。記者はそれほど安易な気持ちで記事を書いていたのか、 そうでなければ組織として競馬ブックは記者を守れなかったのか。 いずれにせよ訂正記事、謝罪記事を出す重みを報道機関なら考えるべきだ。 私が競馬記者なら、こんな組織の下では責任ある記事を書くことはできないだろう。
| 固定リンク
「コラム・書評」カテゴリの記事
- 0勝ジョッキー・大江原圭 ついに1番人気で初勝利か?(2009.07.10)
- タキオン急死 ”種付け頭数制限”は妥当性を持つか?(2009.06.30)
- ”疑惑の裁決”が産んだ大改革 満たされぬ正しさ求めよ(2009.06.19)
- ”チョリッテホシーノ” ファンを規格化するバラエティ戦略(2009.05.07)
- 華麗なジャンプを再び 石山繁の快復を祈る(2007.03.04)




コメント
トラックバックありがとうございます。
従前から、「武豊に刃向かったものはこの業界で生きていけない」
というのは鉄則です、悲しいことながら。
対マスコミ対策があれほど巧かった武が取る行動とはとても思え
ないほど今回の武の姿勢は愚かしい。勝てないイライラが募って
ああいう挙に出たのか。あるいは取り巻きの人間が変わったのかも
しれません。
ともあれ、第一人者の姿勢とはとても思えない彼の行動は競馬と
馬券をこよなく愛する1オヤジとして残念です。
投稿: seabird | 2004.06.30 08:48
seabirdさん、コメントありがとうございます。私も同感です。武豊は一流だと思えばこそ、軽率な行動は取ってほしくないですねぇ。何が変わったのか、地方や外国騎手の浸食に焦りもあるんですかね。
投稿: うまむ@管理人 | 2004.06.30 21:48
批判・・・というよりは、「不可解」という表現が「わざと負けた」ととられるのを恐れてじゃないですかね?
それなら怒りようも少しはわかりますが・・・。
投稿: とっぽ | 2004.07.01 23:32
とっぷさん、書き込みありがとうございます。武豊はそう捉えたのかもしれませんね。ただ「不可解」とは理解できないという意味ですから、見る側からの解釈なのは明らかなんですけどね。「八百長をしている」と記者が勘ぐって、短評を書いたと武豊は思ったんでしょうか。それも考えられません。やはり感情の行き違いに帰結すると思うのですが。。。
投稿: うまむ@馬耳東風 | 2004.07.02 03:42