2008.05.12

NHKマイルC回顧 頭抜けたディープスカイの瞬発力

荒れた馬場で切れ味が武器の馬は不利になるのではと言われたNHKマイルC。その懸念から私もディープスカイ、ブラックシェルの印をひとつずつ落とし、先行力あるレッツゴーキリシマを本命にした。だが、結果は真逆。ゴスホークケンが果敢に先手を取り、ダンツキッスイ、エイムアットビップが追いかける展開。先行勢は壊滅した。スタートが今ひとつだったディープスカイは後方3番手。馬場の良い外に各馬が集中するのを予測して、4角では馬群の内をつく。同じようなコースを先に抜け出したブラックシェルを残り200で交わすと、まったく危なげない走りでゴールを駆け抜けた。四位の「追えば必ず伸びる」という確信に基づいた好プレーが勝利に導いた。それだけの自信を鞍上に与えたのは、毎日杯でアドマイヤコマンドらを千切り捨てた瞬発力の高さだ。皐月賞に見向きもせず、NHKマイルC一本に絞った陣営の仕上げも完璧だった。

2着ブラックシェルは早め先頭の競馬で能力を出し切った。クロフネ産駒らしく、府中も合っている。以前から感じていたが、マイラーだろう。例年の松国ローテでダービーをめざすことになるが、馬券の対象になるまではどうか。3着はファルコンSを勝っているダノンゴーゴー。この馬も上位2頭と同じようなコースを通って追い込んできた。展開が向いたのは事実だが、14番人気は少し人気を下げすぎたか。2番人気ファリダットは大外から伸びて5着。先約から武豊はブラックシェルではなく、こちらを選んだのだろうが、府中マイルG1を乗り切るにはまだまだ底力が足りない印象だった。レッツゴーキリシマは道中こそスムーズに進めたものの、直線はぱったり。血統のイメージに相反して、悪い馬場は良くないのかもしれない。力も足りなかった。勝ったディープスカイはダービーも視野に入れている。混戦の今年は充分にチャンスもあるだろう

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2008.05.11

NHKマイルC 粘れ粘れ、レッツゴーキリシマ!

今朝、カジノドライヴの出走したピーターパンSの映像を観て驚いた。まったくの楽勝劇。この馬が順調だったなら、NHKマイルCも赤子の手をひねるように持って行かれていたのではないか。だが、今年のNHKマイルCは1番人気が5倍もつける大混戦。スピードやスタミナ能力だけで量れば、弥生賞2着のブラックシェル、毎日杯を圧勝したディープスカイ、超良血ファリダットあたりを上位に取るのが筋だろう。しかし、府中の馬場は折からの降雨で荒れ気味。差し脚が届かない可能性も高い。思い切って先行力あるレッツゴーキリシマから入ってみたい。前走の皐月賞は果敢に2番手を追走して、最後まで粘って5着。距離短縮は大歓迎のはずで、メジロライアン産駒なら悪い馬場も苦にしない。波乱の立役者となれ。

◎レッツゴーキリシマ ○ディープスカイ ▲ブラックシェル
△ファリダット、サダムイダテン、ゴスホークケン、サトノプログレ

>>レース映像・ピーターパンS (優勝カジノドライヴ)

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2008.05.09

旅打ち高知競馬! 南国・土佐の大らかさに包まれて

天皇賞観戦の翌朝、私は大阪にいた。このまま帰京するのも芸がない。そうだ、地方競馬へ行こう! 「競馬界を今一度、洗濯いたし申し候」ということで、思い切って四国へと向かうことにした。めざすは未踏の地、高知競馬場である。あいにくの土砂降りのなか、無料バスに間に合うよう駅前へと急ぐ。小さなバスターミナルは駅に向かって左側にあった。発着場所は「C」。ところが、乗り場が見当たらない。表示もない。焦っていると、遅れて競馬場行きのバスが現れた。これで一安心…とはいかなかった。バスはターミナルに入ってくると、誰一人の客も乗せないまま、あっという間に走り去ってしまったのだ。雨に打たれ、立ち尽くす阿呆がひとり。事務所で乗り場を確認すると「Cはその辺やか」との返事。ちょ~テキトーである。「おまんら許さんぜよ!」と、45分後。今度は正面にやってきたバスに鉄火面ばりのホップ、ステップ、ジャンピング~で乗車成功。駅前からの乗客は私ひとり。GW中の開催にしては少し心配になる光景だ。

だが、競馬場に近づくにつれて、それは杞憂であることがはっきりしてきた。駐車場はたくさんの車で埋まり、場内は多くのファンの姿があった。三紙ある競馬新聞から「福ちゃん」(500円)をチョイス。早速、検討へと移ろうとすると… 馬柱が読めないよ! こんなことはサンタアニタ以来だ。北米か! 福ちゃんは競馬ブックのような横組だが、ひとつの枠に出走したレースの情報が記載されているのではなく、前6走の着順、騎手、位置取りなどが細かな字で横一行ずつ書かれている。言わば四季報やnetkeibaの新聞版。さらに目を凝らすと、平均ハロン、過去20週の着順、季節ごとの勝利度といった詳細なデータまで散りばめられている。豊富な情報量の福ちゃんを使いこなしてこそ通か。ちなみに右端の「談話」は「これも変わりない」「これも徐々にマシに」「これも今イチ」など、ことごとく「これも」から書き出しが始まっていて、いったい誰の談話か分からない。それも「ほがなこんまいこと、いいがやないかね」というところか。

高知競馬場は一周、右回り1100メートル。もっとも多用される1300メートルは4コーナー付近にゲートがおかれ、スタンド前を二度走ることになる。1着賞金は9万円から13万円。窓口の多くは効率化のため、カーテンが閉められている。「赤字即廃止」の厳しい条件のもと運営されている、苦しい台所事情も伺えた。不良馬場ということもあって、ハナを切った馬がほとんど連対する展開。本命馬が先手を取れないと波乱必至なわけだが、人気馬が後手を踏んでもスタンドは淡々としたもの。怒号や悲鳴が飛び交うことはない。福山あたりなら死人が二人ぐらい出ているレースでもだ。パドックも同じ。手の届きそうな距離で騎手が回っていても、野次も飛ばないのだ。あるのは「本田くん、がんばってー」というオバチャンの黄色い声援だけ。本田は恥ずかしそうに俯き、ダクでパドックを出て行く。パドックで厩務員が手綱を放すのも高知名物だ。地方競馬の魅力はオヤジたちが真剣勝負する空気だが、高知の南国競馬はどうも一味違う。鉄火場とはほど遠い、ホノボノした雰囲気である。優しさ、大らかさに包まれているようなのだ。

スタンドは4階建て かわいらしいパドック

直線200メートルも攻防は熱い 高知のJRA-VANこと福ちゃん!?

もう一つ、余所者が驚かされるのが競馬場とは思えない、たくさんの”お子様”たち。ざっと数えたところ、大袈裟でなく4人に1人は子どもではないか? 決して「こどもの日特別」がメインレースだからではないらしい。コースやパドックのいちばん前に陣取り、我が物顔で走り回る姿は、公営競技場だか遊園地だか分からなくなりそうなほど。パドックでは「お姉ちゃん、何が良い?」「8番が良い!」などという微笑ましい母子の会話が繰り広げられていた。さらにゴール板前には馬券オヤジに説教する驚くべき小学生が…。「7番は確実やて言うたやろ。おっちゃん、アカンわー」、そう言って懐から取り出したのは的中馬券! 「そりゃ、わからんわー」と頭を抱えるオヤジ。土佐のガキども恐るべし。もちろん、本人が窓口で買えるわけもなく、あくまで父親の馬券を預かっていることが分かったが、中央なら緑服の人がすっ飛んできそうなやり取りだ。

高知競馬には数々のアイドルホースがいる。ハルウララを挙げるまでもなく、オースミレパード、エスケープハッチ、ヒカルサザンクロス、ナムラコクオーなどなど。 8レース、記者選抜にはヒカルサザンクロスの記録に迫る253戦目のダイナブロスが出走していた。新潟や上山を経て高知へやってきた12歳馬。森井美香がきっちり2着へ持ってきた。このレース、すべての馬が連闘だった。賞金額の低さからも明らかな通り、高知に集まるのは底辺に位置する馬たちだ。調教師や厩務員は他場で走れなくなった老齢馬や故障馬を立て直し、再びレースに出走させる。限界まで馬を鍛え抜いて頂点をめざす、中央や南関東とは異質の競馬だ。そこに最多連敗、最多出走、最高齢現役馬など、ただ強さを求める競馬にはない見方が生まれてくる。だから、土佐の人々は温かい眼差しと"おらが村の馬"という連帯意識を懸命に走る馬たちに向けるのかもしれない。

さて、ここに来たからには観ておきたいのが「ハルウララギャラリー」だ。出迎えてくれたのは馬房に入った等身大のハルウララ模型。さらには映画「ハルウララ」の写真や衣装、出演者の渡瀬恒彦や賀来千賀子の手形が展示されていた。結局、映画は全国公開されず、ウララも高知に戻ってくることはなかった。ウララ関係の記事が閲覧できるコーナーには「競馬最強の法則」が積まれ、付箋のついたページには「社台ファームに7000万円で馬主が売りつけようとした」懐かしい話が載っていた。どこか抗議の仕方も奥ゆかしい。帰り際、展示品限りというTシャツとストラップを買うと、せっかくだからとポストカードとキーホルダー2個をオマケにつけてくれた。これでは儲けはなかろう。この分け隔てない親切心が結果的に付け込まれることになったのかと思うと、残された模型が物悲しくも見えた。さながらギャラリーは兵どもの夢の跡か。

最終レースのスタンド、嬉しそうなおっちゃん達に出会った。「余裕でてきて、競馬できそうやでって」と開催の行く末に盛り上がる。いつ廃止になってもおかしくない高知競馬は、部外者には知る由もない様々な問題も抱えているのだろうし、これからも困難が待ち受けているはずだ。だが、一つだけ明らかなのは、競馬場は地元の人々に愛され、存続を願う多くの声があることだ。それはハルウララがいなくなり、メディアの目が向かなくなっても変わりない。「いちばんがおれば、ビリもおる。あたりまえやん」 競馬場を去るとき、来たときの雨が嘘のように青空が広がっていた。馬券の負けも忘れる大らかな気分で帰路に着いたのは、天気のせいだけでなかっただろう。

パドックに陣取るチビッ子馬券師 森井美香とダイナブロス

等身大のハルウララ模型 ギャラリーには映画の撮影の写真が

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2008.05.07

アドマイヤジュピタが盾制覇 作戦失敗が功を奏す?

トップホースたちが持てる力を余すところなく発揮した天皇賞春。最強馬決定戦の名に恥じないレースになったのではないだろうか。私もライブ観戦のため東京から現地へと赴いた。まず、向かったのはライスシャワーの慰霊碑。劇的な復活を遂げた、あの天皇賞から13年も経ったとは感慨深い。この日は多くの供物が供えられ、ライスシャワーがファンの心に生き続けていることを感じさせられた。今年、レースの鍵を握るとされたのは、関係者による決起集会まで開いたアドマイヤ軍団の行方。ところが、ペースをつくるはずの福永・アドマイヤメインは出遅れ。そして、番手近くからの競馬を想定していた岩田・アドマイヤジュピタもスタートで失敗してしまった。一方、横山典・ホクトスルタンが好スタートを切り、思い切ってハナを叩く。ホクトスルタンは1000メートルを1分1秒1で通過。淀みのないラップが刻まれ、どこかで13秒台に落として息を入れたいところ。だが、後ろからアドマイヤイメインがプレッシャーをかける。2000メートルは2分03秒だったが、先行勢には数字以上の厳しい流れになった。

夏の日差しとなった淀 慰霊碑を訪れる人は後を絶たない

直線、粘ったホクトスルタンは、ラスト1ハロンでスタミナが枯渇。その後ろにいた1番人気、四位・アサクサキングスが交わしにかかるが、こちらも伸びを欠いた。代わって先頭に立ったのは3角過ぎから進出してきていたアドマイヤジュピタ。だが、武豊・メイショウサムソンも盛り返す。壮絶な追い比べは、アタマだけジュピタに軍配が上がった。G1初挑戦で盾を制する偉業。本来の先行する競馬ではなく、見事な差し脚で勝利へ導いたのは、後方で折り合わせることに腹をくくった岩田のファインプレーだ。アドマイヤメインは殿負け。結果的に先行勢が壊滅したことを考えれば、出遅れのために先行争いに巻き込まれなかったのは幸いした。ホクトスルタンが格好の目標となったのも有利だった。多頭数出しの余計な作戦は良績につながらないことが大半。今回、2頭の出遅れによる作戦失敗が図らずも最高の結果を生んだと言えないか。もちろん、自ら勝ちに行ってサムソンをねじ伏せたのだから、ジュピタが天皇賞馬に相応しい実力を持っていたことに疑いはない。

アドマイヤ総帥、近藤利一は初めての盾制覇に人目を憚らずに涙した。本業は解体業。あくの強い馬主で好き嫌いの分かれるタイプだが、斜陽の競馬界に多額の資本と情熱を投下してくれていることは感謝せねばなるまい。ジュピタの父はスピード馬のフレンチデュピティ、母の父はライスシャワーを輩出したリアルシャダイ。母系が強く出たということか。天皇賞もステイヤーらしい戦いぶりだった。2着メイショウサムソンは不振から脱出。反動がなければ良い。 3着アサクサキングス、4着ホクトスルタンは展開次第では充分に勝てる力があるところを見せてくれた。とりわけ、メジロマックイーンから血の継承が期待されるホクトスルタンには、どこかでG1を獲得してほしい。来春の天皇賞まで待たなくとも、宝塚記念や有馬記念はチャンスがありそう。 9着ドリームパスポートは大型連休の渋滞に巻き込まれ、輸送に12時間もかかった影響が惨敗につながった。陣営のボーンヘッド。本命にしたポップロックは見せ場なく12着。敗因を教えてほしいものだ。

うるさい気性はいつものこと。アドマイヤジュピタ 復活を遂げたメイショウサムソン

決起集会を開いたアドマイヤ軍団 岩田は喜びを爆発させた

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2008.05.04

天皇賞春 忘れられた実力馬・ポップロック◎!

最強馬決定戦、春の天皇賞。盾三連覇に挑むメイショウサムソンが本調子を欠くなか、どこからでも勝ち馬が飛び込んできそうな大乱戦の様相を呈している。 1番人気はアサクサキングス。強い菊花賞馬ではあるものの、押し出された本命馬であることは否めない。 4頭出しアドマイヤ軍団は、ハナに行きたいホクトスルタンともどもアサクサに楽なペースを作らせたくないはずで、今年はスローにはなりそうもない。軸は豊富なスタミナと自在性のある脚質を持つポップロックを指名したい。ディープインパクトやアドマイヤムーンといった超一流の名馬と僅差の競馬をしてきた古豪だが、エリシオ産駒という地味さのせいか、盲点となる前日売り6番人気。少し力を侮られているのかなという感じを受ける。鞍上はフローラSを制してエンジンのかかってきた内田博幸。一発気配が漂う。対抗は着々と良化しているドリームパスポート。差し脚にかける覚悟を決めてほしい。単穴はホクトスルタン。レースは京都まで観にいこうと思っているので、感動的な結末を期待したい。

◎ポップロック ○ドリームパスポート ▲ホクトスルタン
△アサクサキングス、メイショウサムソン、アドマイヤジュピタ、アイポッパー

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2008.05.01

最多4頭出し アドマイヤ軍団に作戦の利はあるか

最近は朝青龍問題でもタニマチとして睨みを利かせるなど、何かとお騒がせの近藤利一。今年も重賞6勝とアドマイヤ軍団は絶好調だが、天皇賞春には個人馬主としては異例の4頭出しで挑む。アドマイヤモナーク(ダイヤモンドS)、アドマイヤジュピタ(阪神大賞典)、アドマイヤフジ(中山金杯)、アドマイヤメイン(ダービー2着)、参加することに意義があるのではなく、どの馬も勝つチャンスがありそうだ。サンスポによれば、84年のグレード制導入以降、4頭出しは同一馬主のG1最多出走頭数タイ記録となる。過去6度あるが、すべてクラブ法人によるもので、最高着順はホーネットピアス(97桜花賞)、ローエングリン(03安田記念)の3着。一昨年の天皇賞春ではサンデーレーシングが4頭参戦させたものの、アイポッパーの4着が最高着順だった。こうして見ると、多頭数出しを有利に働かせるというのは意外に難しいのかもしれない。

但し、4頭出しが最多というのは登録名義が同一だった場合ということであり、例えば社台グループという括りなら幾らでも5頭を超えるケースはある。しかし、近年の社台グループは巨大さ故に、総がかりで1頭の馬を勝たせに行くといったことは、少なくともファンに見える部分ではない。そんな手荒なことをやれば、信頼を失って自らの首を絞めることは自明だ。では、他の有力馬主の場合はどうだろうか。思い浮かぶのは4年前の皐月賞とダービー。それぞれ岡田繁幸総帥は、マイネル、コスモを併せて5頭を出走させた。コスモバルクを勝たせるためにマイネルマクロスで先行勢を潰し、予想外のハイペースになれば後方待機の別の馬が差す。大まかにはそんな作戦だった。だが、岡田総帥の策は見当違いに終わり、暴走、骨折、予後不良と散々な結果が待っていた。

多頭数出しでは、1頭はハナを切らせてペースを握りたいと考えるのは常のようで、今回、アドマイヤ陣営は菊花賞3着の実績もあるメインを前に行かせたいと思っているようだ。ホクトスルタン、アサクサキングスと楽にハナで流されると手強いライバルもおり、メインが牽制していくことになるだろう。理想的には先頭集団を見守る位置にジュピタを置いて、中団フジ、後方モナークに脚を溜めさせたいところか。アドマイヤ勢の盾制覇は可能性が高いように思えてくる。だが、ゲートが開けば、脳内と同じ展開にならないのが競馬。ジュピタのポジションにはポップロックがいるかもしれないし、後方一気の利を得るのはドリームパスポートかもしれない。ちなみに4年前の皐月賞では逃げ宣言のマイネルマクロスは出遅れて、ダイワメジャーが押し切ってしまった。さて、天皇賞春のアドマイヤ軍団は如何に?

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2008.04.28

メジロと社台の執念 ホクトスルタン4代盾制覇なるか?

春の盾、最大の見所は、「父子四代天皇賞制覇」なるかどうかであると言ったら過ぎるだろうか。前走、準オープンのサンシャインSを勝って臨むホクトスルタンはメジロマックイーン産駒。その父系を辿ると、マックイーン、ティターン、アサマとメジロの天皇賞馬がズラリと並ぶ。メジロアサマはシンボリルドルフらを輩出したパーソロンの仔で、1970年の天皇賞を勝った。種牡馬入りしたものの、受胎率が極めて低くシンジケートは解散。「種無しスイカ」と揶揄された。だが、メジロ総帥の北野豊吉は大金を注ぎ込んで良血の肌馬を用意し、生涯19頭の産駒を誕生させた。その1頭が1982年の天皇賞馬・メジロティターンだ。気ムラな馬でとても種牡馬としても人気を博するタイプではなかった。それでも、ティターンにこだわり続けたのは、「ダービーより天皇賞を勝ちたい」というメジロのポリシーだ。北野が「父子三代で天皇賞を獲れ」と遺言を残して世を去って6年後、マックイーンが1991、92年の天皇賞優勝。武豊は表彰式で北野の遺影を掲げた。

メジロの執念が誕生させたマックイーンというミラクルホース。血統の墓場と言われる当時の日本で、こうした偉業が達成されたのは万にひとつの奇跡だった。アサマやティーターンとは対照的に、人気サイヤーとして社台SSに鳴り物入りでスタッドインしたマックイーン。環境の恵まれたマックイーンからG1ホースが出現する可能性はアサマらと比べると非常に高かった。ところが、エイダイクイン、タイムフェアレディ、ヤマニンベルメイユと言ったG3級の牝馬しか活躍馬を出せないまま、一昨年に心不全のため死亡。父子四代天皇賞制覇は幻に終わったかに見えた。そこに現れたのがホクトスルタンだった。夏の札幌で1000万円特別を勝つと、神戸新聞杯に参戦して4着と好走。距離が伸びた菊花賞はハナに立って6着に踏みとどまり、大いにファンを沸かせてくれた。正直、この時点では力負けの感は否めなかったが、もともとが晩成血統。半年の休養を経た前走は後続に1秒差をつける圧勝で、春の盾に名乗りを上げた。

淀の三千二百を乗り切るスタミナは父系から文句なしに受け継いでいる。かたや、現代競馬に必須のスピードだが、こちらは社台ブランドで固められた母系に埋め込まれている。母の父は言わずと知れたサンデーサイレンス。そして、リアルシャダイ、ノーザンテーストと、リーディングサイヤー三代が連なる。メジロの古き血の力は、社台の血と掛け合わせられることで再び力を呼び覚ましたかのようだ。また、サンデーはスペシャルウィークら、リアルシャダイはライスシャワー、ノーザンテーストはアンバーシャダイと、3頭とも天皇賞馬を出している心強さ。ちなみに、もう一代前にあるシーホークは、モンテファスト、モンテプリンスの2頭の天皇賞馬の父だ。こうして見ると、ホクトスルタンは天皇賞春の系譜が、もっと言えば日本の競馬史そのものが体現されているのかもしれない。大混戦の第137回天皇賞、父子四代制覇に願いをかけて単勝馬券を手に応援してみたい。

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2008.04.23

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